大阪生活

大阪生活の記録

もともと仕事なんて効率的じゃない


仕事をなるべく早く、楽に終わらせられるように(注:仕事が完全になくなることは無い)最近はVBAをちまちま使っている。大量のデータの中から自分に必要な情報を見やすく加工して並べ替えるのは、人間より機械にやらせたほうがずっと正確だし早い。当初は自分だけさっさと業務を終えて帰宅するために使っていたけれど、いつの間にか周囲にバレてしまったので泣く泣くみんなのためにコードを書くことになった。

当初から自分のパソコンだけで使うことを想定していたのでコードは力技だしコピペしまくりだし酷い有様だった。けれど人様のパソコンでも動かさないといけないとなると話は別だ。続出するエラー。エラーが出るとメッセージを一切読まずに「使えない」とだけ伝えてくる人、スクショが撮れない人、パソコンが古すぎてフリーズする人、勝手に仲間内で拡散させて使い方が分からないと電話をかけてくる人、世の中にはたくさんの人がいる。

幸い最近は数字もそこそこ出しているので、業務中の気分転換としてコードを書いている。家のパソコンはMacなので、もういっそのことEXCEL買っちゃおうか。業務中に書くから楽しいのであって、家でゆっくりしている時にまでコードは決して書きたくない。

最初に作ったのは簡易見積システム。名前を入れれば勝手に加工費とか重量とか納期とか、そういった通常我々が見積書を作る時に気になることがそれなりに表示されるやつ。引っ張ってくるもとのデータの信憑性がやや低かった(データが古かった)ので、部内で稼働している2つのシステムからデータを無理矢理引っ張ってきて結合したものをデータベースにしてみた。味方をシンプルにして誰でも随時更新できるようにちょっと弄った。

これはだいたいうまく動いたけど、すべてのファイルにデータベースを入れ込んでシートの4枚目から引用していた関係上、どうしても一つ一つのファイルのサイズが大きくなる。大きくなるといってもそんな数KBなので全然問題はないんだけれど、それなりに使用しているとどんどん増えていくフォルダのサイズが気になって気になって。なので今後はどこか一つのデータベースにそれぞれがアクセスしてデータを引っ張ってくるような形にしたいなぁと思っている。

この結果、普段は見積書1枚作るのに2~30分掛かっていたのが一気に短縮され、賞味2分あれば余裕で完成するまでになった。調子に乗って、もう少し使いやすくするためにデータベースの内容を精査し不必要なデータは思い切って削除した。ファイルサイズが若干小さくなった。入力するべき項目を若干削って、データの参照の仕方を改善した。あとはデータベースを更新したり細かな修正をするくらいで、大凡完成したと思う。おかげで2時間くらい時間的な余裕が生まれた。

次に作ったのは大量のデータを取捨選択して見やすく並べ替えるやつ。ぶっちゃけクソほど簡単に作れた。だってマクロの記録だもん。記録して追加して記録して追加していくとハイ、完成。自分で使う分には全く問題のないクオリティのファイルが完成した。けれど上に書いたようにどうも全国で使うようになるらしい。慌ててコードを見直して余計な箇所を削除し、一つ一つの文に注釈を付けて、長いコードはググって短くした。15秒くらい掛かっていた作業が2秒くらいに短縮された。けれどバージョンの違うexcelや、自分のパソコンでは使えないという苦情が舞い込むようになってきた。一人ひとりに電話かけてエラーの内容を聞いて修正する。けれどエラーを読まない人、勝手に怒る人、なんでぼくはこんなに苦労しないといけないんだ。とか思いつつシコシコ修正に修正を重ねている。最近は営業なのかVBA芸人なのか自分でも分からない。とはいえ、営業活動が実を結んだときは嬉しいし、思い通りにexcelが動いたらすごい嬉しい。小さな喜びを繰り返していると案外単調な仕事にも波が生まれて、以前より少しだけ会社が嫌じゃなくなったかもしれない。今後はもう少しいろいろなことに挑戦してみようと思う。

ピアノの練習を始めた

基礎がガバガバなのを知りつつこの年まで生きてきた。

この前ピアノが家に来た。家のどこにいてもピアノは目に入る。飯を食っていても酒を飲んでいてもベッドに潜り込むときも。家に帰ってきても会社に行くときにもいつもピアノは壁際にぬっと立っていた。そろそろ基礎からきっちり固めていかないとなと思い今日ようやく鍵盤に触れた。

最初に取り組もうと思っている曲はモーツァルトのK.545。きっと誰もが弾いたことのある曲。でもぼくは経験してこなかったので、齢26にしてようやく真面目にモーツァルトに取り組もう。この曲はハ長調、なのでCから始まる白鍵ばかりを弾いていればいい。こういう曲は大好きだ。

譜面はぼくでも読めるようなものだし、そもそもあちこちに弾いてみた動画が転がっている曲。昔ピアノを習っていたときのことを思い出しながらゆっくり練習する。テンポは80から始めて弾けるようになったら少しずつテンポを上げていく。最初のページが何となく弾けるようになったら次のページに。今は2ページ目までが精一杯。

少し弾けるようになった状態で動画を撮ってみた。ひでぇ。ひでぇけどここからちゃんと練習すれば確実に今よりは上達するだろうと思って、泣く泣く練習する。久しぶりに真面目にピアノを弾いたので腕が痛い。特に2ページ目の左手に泣かされている。テンポ110で弾いていると左手が終わる。でもこれを弾けるようになれば次の曲にも挑戦できる。練習しよう。

Onomichi

広島県尾道市尾道三部作の舞台でもあり、かつて造船業によって発展を遂げた街でもある。この街は岡山市広島市のちょうど間に位置している。岡山駅から山陽本線で約一時間、東尾道駅から始まる緩やかなカーブの終着点に尾道駅はある。ホームから地下道を通り海側の改札を出ると、目の前には尾道水道、その向こうにはガントリークレーン立ち並ぶ向島ドック(旧向島造船)が広がる。山を背にして左手側に進むと、すぐに商店街の入り口が見えてくる。この商店街は線路と尾道水道の間を並行に走っていて、まるで葉脈のように細い道が中央通りから左右に広がっている。

休日の昼間は観光客で賑わう尾道も、夜になれば打って変わって静かな街へと姿を変える。斜面に濫立する家々の窓に明かりは少なく、商店街を抜けた辺りの飲み屋街も人通りは殆ど無くなる。「20年前はこんなに静かじゃなかったよ」と隣でビールを飲んでいる男性は言っていた。尾道生まれ尾道育ち、この辺の奴らは大体友達、レペゼン尾道、ラブアンドピース。

尾道は「てっぱん」という連続テレビ小説の舞台になったことで少し変わったと彼は話した。確かに聖地巡礼による経済効果は無視できないとか聞いたことはあるけれど、実際ドラマ一つでそんなに変わるものかなと思って調べてみた。すると尾道市立大学の教授の論文がヒットしたので読んでみようと思う。

「てっぱん」の放送開始から1年間の間に、尾道市を訪れた観光客数は実に前年度や前々年度より7割近く増えたのだという。その数実に600万人!経済効果もおよそ100億円らしい。すごいぞ連続テレビ小説

いや、でもぼくの通っている学校のあった川越も連続テレビ小説「つばさ」の舞台だったけどそんなに観光客増えてる気がしなかったんだけど。ふと思って川越市のウェブサイトを見てみると、観光客数の推移を表したグラフが貼ってあった。これだ。

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「つばさ」効果全然ないやんけ!!!!全然あかんやんけ!!!!!!!!!

いや、もともと600万人来ていた時点で既に頭打ちだったのかもしれない。首都圏[要出典]から気軽に行ける上にそこそこ江戸情緒が残っているので、既に観光地として完成されてしまっていたのかもしれない。だってユネスコ無形文化遺産に登録されたときでも40万人しか観光客増えてないんだよ?もっと増える気しません?もしくはよっぽどこのドラマがつまらなかったのが原因かもしれないけど。三谷幸喜が脚本書いてたら10000000人くらい来るかもしれないね。

話はもとに戻る。川越なんて別にどうでもいいです。今は尾道の話をしているんです。尾道の観光客、てっぱん効果でずいぶん増えたみたい。実際今はどうなんでしょうか、調べてみました。

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てっぱん放映からずいぶん経った現在でも着実に観光客数増やしてますやん。というかサイクリング客と外国人観光客数は過去最高ですって。もうてっぱん関係ないやん。もう少し調べてみると、昨年尾道は日本遺産に登録されたみたい。

尾道三山と対岸の島に囲まれた尾道は、町の中心を通る「海の川」とも言うべき尾道水道の恵みによって、中世の開港以来、瀬戸内随一の良港として繁栄し、人・もの・財が集積した。その結果、尾道三山と尾道水道の間の限られた生活空間に多くの寺社や庭園、住宅が造られ、それらを結ぶ入り組んだ路地・坂道とともに中世から近代の趣を今に残す箱庭的都市が生み出された。迷路に迷い込んだかのような路地や、坂道を抜けた先に突如として広がる風景は、限られた空間ながら実に様々な顔を見せ、今も昔も多くの人を惹きつけてやまない」(https://www.city.onomichi.hiroshima.jp/soshiki/7/4024.html

なんだかよくわからないけど文化庁のお墨付きをもらったから行ってみようって人が増えたのかな?確かに世界遺産とかそういうの登録されたら行ってみようとも思うけど、新幹線+普通列車を使って行かなきゃいけない場所にそう簡単に人は行くんかね……

あ、他にもブラタモリで取り上げられてたみたい。これも理由としては大きい気がする。テレビってすごいもんね(ふわふわ)。

yonta64.hatenablog.com

今思ったけど、あくまでも上2つ(てっぱん含めると3つ)って国内向けなんですよね。外国人がどういう理由で尾道に来るんだろう。どうやって発見したんだろう……

久しぶりの一人旅

プライベートで新幹線に乗ることなんて滅多にないのに今日は珍しく新幹線に乗っている。久しぶりの一人旅、今回は尾道・広島を目指している。もともと尾道へ朝から行くつもりだったので、1000円課金すれば広島へ行けると聞いたので迷わず課金、たくさん写真を撮ってこようと思う。新幹線に乗るためには往復2万くらいかかるけれど、航空券10万と滞在費で5万くらいかかる海外旅行と比べればだいぶ安く済む。10万円くらいはこのお盆休みで使おうと思ってたので実質8万円浮いたようなもんだ。嘘です。

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今回はSLとGRを持って行くことにした。SLにはISO100のモノクロフィルムを入れてきた。夜には弱いけどその分明るいところでたくさん撮れる。広角の練習だと思ってGRもたくさん使ってみたい。今年入って3回目の尾道と、人生5回目の広島だ。広島では会いたい人が2人(両者とも男)ほどいるから会えるといいんだけど……

それにしても晴れていてよかった。朝早起きしてカブで尾道目掛けて出かけるなんてアホなことしなくてよかった。原付なので制限速度は時速30キロ、大阪から尾道までは下道で270キロある上に信号やトイレ休憩、食事の時間を考えると10時間は掛かるっぽい。朝5時に出ても15時に到着して、ヘロヘロの身体を休めるために横になればすぐ夜ですよ。コンビニで飯買って酒飲んで寝て、朝起きてまた株を走らせるなんてあんまり時間のないときにやることじゃないね。

いろいろ行きたいところはあるけれど、まずは着実にタスクを消化していこう。あと北海道さえ行けば全都道府県制覇。一方の海外はまだ全然行けてないばかりか、ユーラシア大陸北アメリカ大陸しか上陸してない。南極大陸の難易度は高いので一旦退けておくとしても、南アメリカ大陸とアフリカ大陸に行けていないとは何事よ。南アには2023年までに、アフリカは2025年までに上陸しますよ。行きたいところはすでに決まっているんだ。今後ビザが必要なくなる国も増えるだろうし、逆に入国できなくなるところも増えると思う。行けるうちに、体力のあるうちに世界あちこちを回りたい。

とは言え「隗より始めよ」と偉い人が言っているように、手の届く範囲から着実に。今回は広島と尾道に行くよ。来週は仕事で四国、再来週は同じく仕事で九州へ。その翌週くらいには東京行けるといいなぁ。

車が(すこし)欲しい

大阪生活も三年目を迎え、電車で行きたいところには大概行ってしまった。たまにレンタカーを借りるとその機動力に驚かされることがある。ガソリンさえあればどこまででも行ける車、欲しくないですか?

今ぼくの手元にはカブが一台。カブはとにかく燃費が良くて取り回しが楽な最高の足だと思っている。買って後悔したことは一度もないし、あのときカブを手に入れることができて本当に良かったと心から思っている。買い物に行くにもちょっと遠くに写真を撮りに行くにも、いつもカブにはお世話になっている。緑のカブとは今後も長い付き合いになるだろう。

でもカブではできないこともある。雨が降っている日にはちょっと乗るのが億劫だし、大きいものを乗せることは結構難しい。夜中に家を飛び出して、明け方前の尾道へ高速を走らせるのもカブではできないこと。なので近々車を買おうと思う。この前軽トラを運転する機会があって、沢山荷物が積める点、アクセルを踏めば力強く進む点に強く惹かれた。あれさえあれば段ボールと寝袋積んでどこまでも行ける。状態の良い中古車を20万くらいで買って、乗り潰すのもいいと思うんだよね。速さや車高の低さは求めていないけど、愛着の持てる形の車を持ってみたい。

そういうことを昨年末頃から考えていて、独身寮の同期たちと車のカタログや名車の雑誌を持ち寄ってどれを買おうか議論した。Audiが格好良いとか俺はGolfの新車を買うとか、緑色のロードスターが欲しいだとか議論は遅くまで続いた。スポーツカーは男の子の憧れだけど、ハマると大変そうだしあまり荷物は積めなさそう。今巷で流行っているSRV、流行ってるだけあってまあ今風のデザインだし今は格好良いと思えるし、普通に欲しいんですよ。

というわけで検討中なのがラシーンです。同じことずっと言ってます。本物見に行きたいなぁ。ラシーン、元町の異人館近くに止まってるのを見て以来ずっと憧れてるんですよ。10万キロ以下のはあんまりないみたいだし中古車なのになんだか高いし、この前なんか「ゆるキャン」に取り上げられたからますます人気出そうだし。嫌だねぇ。でも5日この世から完全に無くなる前に、一回くらいは乗ってみたい車です。

www.speed-well.jp

天気が悪いと何もしたくなるよね

表題のとおり、今日は朝から特に何もしていない。掃除洗濯ゴミ捨て何一つ。家にずっと居るとこんな気分になるんだね。天気が良ければ京都にでも行こうかなと思ったし、そもそも今日は本来ならば尾道へカブで出かける予定だった。けれど今夜から明日にかけて天気が悪く、街を歩けない予感しかしなかったから諦めた。明日の朝晴れていたら出かけるかもしれないけどお盆は残り3日、何もしないで終えるんだろうな。友人とも飲んでいないし海外にも行ってない、ましてや飛行機さえ乗っていないお盆なんていつぶりだろう。

ようやくベッドから身を起こし、緑茶を飲んでいる。部屋に風を通すために窓を開ける。お盆前は連日40度近くまで上がっていた気温がここしばらく落ち着いているせいか、草木や空の色は鮮やかなのに秋が来たかと錯覚する。といっても暦の上ではお盆はもう秋で、そろそろジャケットを羽織るような季節が近づいているんだけれど。

秋といえばいつか秋のニューヨークには行ってみたいと思っている。Autumn in New Yorkを聞きながらセントラルパークを散歩するんだ。コーヒー片手に身長180くらいのぼくは茶色のセーターを着て、肩にはライカを下げてゆっくり歩いている。実際には身長170くらいだしライカも持ってないけど、いつか似たようなことをやってみたい。セントラルパークが靭公園や新宿御苑になるかもしれないけど、一つの理想像として平日の公園でゆっくりしたいよね?世間が忙しなく動いている中で緑に囲まれてゆっくり過ごすのはきっと気持ちがいいはず。秋は散歩がよく似合うしバイクもよく似合う季節。

天気が悪いとなにもしたくなるよね。お盆の間は案外忙しくて、といっても午後からだけどあちこちへ行くことが多かったから、たまにはこうして一日家に居るのも悪くない気がしてきた。久しぶりにコーヒー豆でも挽いて、なんだか格好良い感じの雰囲気に浸ってみるのもいい。やらないけど。そうだ、外が暗くなってきたらまたプロジェクターをセットして自宅映画館を設置するのもいいかもしれない。Primeビデオには本当にお世話になっていて、最近はとうとう課金まで始めちゃったよ。Amazonは生活用品から食品、映画までカバーしちゃう最強のインフラだね。そのうち水道やガス、電気までAmazonが取り扱うようになったりして。

筆が乗ったのでまだ書くよ。この前ZOZOSUITが届いたんだ。今年の1月に注文したのがようやく。測定結果はあまり正確じゃないって聞いたのは覚えてる。でも自分の体をスキャニングして、スマートフォンでリアルに観察できるのはすごい面白い体験だった。定期的にスキャニングして結果を記録すると、筋トレしている人なんてすごく励みになるんじゃないの?

調子に乗ってスーツをオーダーしようと思ったんだけど、よくよく調べてみるとZOZOブランドのスーツは格別安いわけじゃないらしい。まあセミオーダーメイドのスーツが3万以下って聞いたら飛びつく人は沢山いるだろうけど、ちょっと調べればそれ以上(以下?)の値段のオーダースーツはいくつもあるみたい。気になったのがオンワード樫山のこれ。

kashiyama1927.jp

3万円〜いろいろいじると6万くらいになるけど、オンワード樫山ブランドのスーツがこの値段で買えるのってすごくない?10万とかそれ以上するのかと思ってた。すごい時代になったよね……この前店に行ってちらっと覗いてきたけど、すごい雰囲気良かったし秋冬用のをいくつか仕立てちゃおうかという気になってる。反面、ユニクロのジャケットに袖を通してその軽さと着心地の良さにニンマリしてる自分もいるから、勝負スーツ用に一着オンワード樫山のを、それ以外に普通に着る分にはユニクロでいいかもね。

文章書いてるとなんか元気になってきた。やったね。今日の夜は何を食べようかな。

髭を剃るか伸ばすか問題

会社に何も言われなければ間違いなく髪も髭も伸ばしたままにするだろうし、半年か一年かは分からないけど周囲から「髭の人」 と認識された頃に、鳩尾くらいまで伸びた顎髭を一気に剃り落として新鮮な気持ちになりたいという欲望がある。髭を剃るか伸ばすか問題は、この地球上全ての男性にとって切実な問題なのである。

毎朝剃るのが面倒、でもじいちゃんになったときに仙人みたく伸ばしたいから永久脱毛は怖い、でも剃刀の刃を定期的に購入しなきゃいけないのは嫌だし、でも髭をはやしたダンディになりたいってずっと思ってるし、と常に堂々巡り。思春期から髭に関する問題は何一つ解決しないままこうしてアラサーに突入し燃え尽きる未来が見えている。

格好良い人が髭を伸ばしているから格好良いのであって、別におたくが髭を生やしていてもそれは髭を生やしているおたくがただ在るだけで格好良くはないし第一不潔だ。髭面の格好良い人が髭を沿って若返るのは良いが、別に髭面のおたくが髭を沿っても童顔なおたくが在るだけなので迷惑である。そういう事を考えていると酒が進む。

将来へのぼんやりとした不安、髭を伸ばすか否か問題、この仕事を続けるか尾道でゲストハウスを開くか、明日はカブでどこへ行こうか、そういう問題大きいもの小さいもの濃いもの薄いものがゆっくりと大鍋でかき混ぜられ、どろりとした茶色の液体へと姿を変える。大鍋の中には過去30年近くの様々な不安や焦燥が煮詰まっていて目を逸らしたくなるような惨状である。そういう不安のスープを我々は心の器へ注ぎ、しばらく寝かせたのちに飲み干さねばならない。

人生は辛く厳しい。が、そういった有象無象を乗り越えた瞬間の達成感は何事にも代えがたいものである。髭を剃るか伸ばすか問題は未だ解けず、髭剃に於いて何が有象無象かすら分からず、酩酊したぼくはAmazonで両刃カミソリを注文した。両刃カミソリはなんだかよく分からないが使っていくうちに分かっていくらしい。最初の一月は頬が血まみれになるらしいが、そのうちに肌が強くなるか剃刀の使い方に慣れるかして綺麗にそれるようになるという。とりあえず会社勤めである以上、今のところは髭を剃る陣営の一員として生きていくと決めた。