大阪生活

大阪生活の記録

深夜徘徊

深夜徘徊が好きだ。昔はよく1時頃に家を抜け出して徘徊してた。今はもう遅くまで起きてなんていられないからそうそう出来ない。でも金曜と土曜の夜は別。深夜の住宅街は昼とは違って静かで誰も歩いていない。動くのは自分の影と風に吹かれる木と、たまに横を通り過ぎる車だけ。普段は勇気がなくて撮れないものも、誰もいないとずいぶん気軽に撮れる。

昨晩はこっそり家を抜け出してカブに跨がり、少し遠くまで行ってきた。6Dと70-200/F2.8をキャリーに押し込んで夜道を駆ける。普段より原付のエンジン音が響くので、アクセルは7割程度で抑えて心地よい振動を楽しむ。空がよく晴れていて空気がスッと透明で、この季節にしては風が涼しかった。

団地はいい。それぞれの人生が扉の向こうにあって、壁一枚向こうの生活としっかり切り離されている。余計な干渉はしない。その状態で10年、20年ものあいだそれぞれの暮らしを営み、家族が増えたり減ったりしつつ緩やかに全体が衰退していく感じが好きだ。同じ色と形の扉がずっと並んでいて、でも鉢植えが並べてあったり子供用の自転車が置かれていたり、ほんの少しの個性が滲み出ているところも好きだ。

誰も住んでいない(入り口が封鎖されている)建物があった。ここはあまりに好きすぎて何度か訪れているところ。正面入口が南京錠で封鎖されてて、でもしっかり蛍光灯がすべての階に灯っている感じが不思議だ。真っ暗だったら誰かが侵入したり住み込んだりするからか、そこらへんは知らないけど、外から見る分にはとにかく楽しい。どんな人が住んでいたんだろうとか、最後まで住んでた人はどんな事を考えたんだろうとか。まだベランダにはハンガーが残ってたりアンテナが設置されたままになっていたり。微かに人の痕跡は残っているけれど、全ての窓からはカーテンが取り外されていて、破れた障子や天井から吊るされた室内灯が見える。

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学生時代ならこっそり侵入していたかもしれない。工事用のフェンスなんて簡単に乗り越えられるから、きっとあの頃なら一線を超えていたに違いない。でも今はある程度働いているし、もう年齢も年齢だから思い切ったことはできない。第一それは犯罪だし。だから今は遠くから眺めることしかできないんです。ひょっとしたら取り壊されるのかもしれないし、今後10年以上このまま放置されるのかもしれない。はたまたすぐに改装工事して、キラキラに生まれ変わるのかもしれない。

ただ、貴重なこの建物をこの状態で見ることが出来たのは幸せだったと思う。今後の動向をしっかりチェックしていかないとと心に刻んだ。