大阪生活

大阪生活の記録

本を読め

クーラーガンガン作戦です!

独身寮に入居している人間に与えられる部屋は、基本的人権が尊重されているとはとても言い難いレベルの狭小なもの。備え付けられているクローゼットとベッド、机を除けば他に何も置けないレベル。たまに冷蔵庫を設置する酔狂な人がいるけれど、冷蔵庫なんて置いたら自由空間はベッド脇の通路しかなくなってしまいます。そもそも6畳以下の空間に人間を最長10年間軟禁する非人道的行為を会社は早く辞めるべきである。腹を切るべきである。

そんな狭小住宅にも唯一の救いが存在する。それは「短時間で部屋の温度を調整できる」という点だ。あまりにも室内の容積が小さいため、クーラーのスイッチを入れてからものの5分で室内が完全に氷点下になる。氷点下の室内で毛布に包まりながらネットサーフィンするのは最高だぜ。絶対に冷房ガンガンかけて外気との温度差を利用して発電しような。

それはさておき、今日は本当に暑い。噂では30度半ばを記録した都市もあるらしいじゃないですか。今は冷房のきいた車内にいるので極めて快適、でもこのガラス一枚隔てた外界はまさに生き地獄、灼熱の太陽とグラグラにとろけたアスファルトのダブルパンチにスーツ姿のサラリーマンはみんな死ぬ。早く日本企業も私服制度を導入してほしい。無理ならせめてポロシャツや開襟シャツを解禁してほしい。解禁だけに。

沖縄はすでに梅雨明けしたという。先週はずっと雨か曇りで気分が上がらなかったね。とにかく早く本格的な夏が来てほしい。青い空に白く大きな入道雲、地平線まで続くさとうきび畑の中をコマツのトラクターが駆け抜ける。濃緑に茂ったさとうきびをかき分けかき分けトラクターは進む。真夏の沖縄でも16時を過ぎれば日は傾き、潮気を孕んだ涼し気な風が吹く。早々に役所の仕事を切り上げ、原付に乗って家に帰る。高台にあるこの家は風がよく通るので家の窓を開ける。窓枠の風鈴がちりんと鳴る。紫とオレンジ色の雲が層状に並んでいるのを部屋の椅子に腰掛けながらぼんやりと眺める、そんな生活をしてみたい。

そういえばこの前東京へ行ったときに本を買った。選んだのは古本の文庫本だったので、確か4冊買っても500円くらいだった。実におしゃれな古本屋だった。どこかの駅を下りて坂を下ると交差点があって、交差点の角にその古本屋は建っていた。向かいには花屋さんがあって、売れてそうな餃子屋さんもすぐ近くに。下北沢じゃなくて、代々木上原でもなくて、、どちらかというと東京の南側だったと思う。だめだ、全く思い出せない。

とにかくそこで文庫本を4冊買ったんだ。最初に手を付けたのは向田邦子の「父の詫び状」。どこかで聞いたことある題名だなって開いてみたらまあ随筆で読みやすいこと。状態もなかなか良い。そこまで珍しい本じゃないので100円で買えちゃった。嬉しいなぁ。他にも3冊買った。でも何を買ったのかはもう覚えていない。夜間飛行を買った気もするけど多分勘違いだと思う。サン=テグジュペリは昔、小学生くらいの頃に星の王子さまを読んだっきりな気もするし、夜間飛行を読んだ気もするし。

毛色は全く違うけど、昨年夏に大阪の南の方で開催されてたなんかのお祭りがあった。カレーとか美味しい飲み物とか古着とか盛りだくさん。例に漏れず古本もあったので見てみると、なんと昔から気になってた「今夜、すべてのバーで」を見つけたんだ。ハードカバーだから重いしデカイ。本当は文庫本が良かったけど100円だったしいいよね。中島らもは「人体模型の夜」を最初に読んだと思う、少なくとも意識的に中島らもの本を選んで読んだ中では最初の本じゃないかな……江古田で買ったのか池袋で買ったのか全然思い出せない。学部3年以前に買った気はしてる。とにかくこの一冊を読んで「なんかしらんけどおもしろい」ってなった。そうは思ったものの特に他の著作に手を付けるわけでもなくのんべんだらりと3年間くらい生きていた。頭のほんとに片隅に「中島らも」の名前があって良かった。相当面白い本だった。
本ってのは基本的に気になるものは全て買うべきだと思っている。買っておけばいつか読めるけど買わなかったら次に出会うまで名前を覚えていなかったら読めない。大概の本には著者がいて、それなりの時間と労力を掛けて作り上げた作品だと思う。そんなスゴいものが1000円以下で買えちゃうんだよ。古本に至っては100円だよ。何十年も掛けてそのひとが手にしたノウハウがたった100円で、2時間もあれば手に入るんだよ。物語の場合は、寝る間も惜しんで何度も校正に校正を重ねて作り上げられた芸術作品だよ。それがたった100円だよ。買うしかないじゃない。それに本は何かと役に立つ。重しにすることもできるし電車の中の暇つぶしにもなる。寝る前に30分だけ読んでみてもいいし、雨が降っていて何もやる気にならないときに読むのもいい。胸ポケットに入れておけば22口径くらいの銃弾は防げるし、氷河期がやってきても燃料になるので生き延びられる。それに本を貸し借りすることで生まれるコミュニケーション、実に最高。

話は脱線しまくりだけど、ぼくが言いたいことはつまり「本は最高」だということです。