大阪生活

大阪生活の記録

遠くへ行きたい

こうも毎日働いていると、ふと遠くへ行きたくなってくる。唐突に会社を1月くらい休んで、あまり日本人がいない、ギリギリ英語が通じるくらいの国に行きたい。陸路で国境を越える経験はまだ無いので、鉄道でも長距離バスでも構わないからとにかく越えてみたい。飛行機の窓から地表を眺めても国境なんて見えないし、離陸直後と着陸直前しか人の営みを目にすることは無い。だから地を這うように進むバスや列車、場合によっては徒歩でもいいーーその国や地域に住む人と同じ目線で国境を跨ぎたい。

ポケットに入る大きさの通信機器を我々は持っているので、全く知らない国でもツイッターやラインで友人達とやりとりすることができる。現にぼくはボスポラス海峡の近くの店で飯を食っている最中に飯倉という友人から電話がかかってきたのをよく覚えている。異国の地で友人と話すのはとても不思議な気分だった。便利なようで孤独感を紛らわせてしまうこの機械にはなるべく頼りたくないのが本心なんだ。というのも結局ぼくが海外へ行くのは会社や友人、家族とどうしようもなく地理的に離れていることを感じて、どうしようもなく孤独になりたいからだと思う。少し前ならスマホなんて無かったからガイドブックと辞書でなんとかするしかなかった。生きるか死ぬか、これからどこへ行くか何を食べるか、今夜はどこに泊まって明日は何時に起きてどこへ行くか。全て自分の選択に委ねられている、あの感覚は一度知ると病みつきになりそうなんだ。あの究極の自由をまた味わいたい。

歳をとるごとに背負うものが大きくなって、好き勝手な行動は年々憚られるようになっていき、やがて人は文字通り身動きが取れなくなって死ぬ。だから、死ぬ前に行けるところには行っておきたい。少しでも身体が健康なうちに、やりたいことはなるべく経験しておきたい。死ぬ前に後悔だけはしたくない。