大阪生活

大阪生活の記録

通勤の風景(3)

ぼくの部屋にはGoogle Home Miniが鎮座していて、朝起きたときにはいつもニュースを読み上げてもらっている。今朝の彼(彼女?)曰く、関西の三府県で緊急事態宣言が解除されるらしい。先月初頭から続いたこの非日常もそろそろ終わることになる。かねての日常に戻るのは嬉しいようで、しかしどうしても毎日会社へ行くことへの抵抗も感じてしまう。

今日は少し出勤時刻が遅いので普段より20分くらい遅い電車に乗っている。車内は先日よりやや混雑しているが、最寄駅は閑散としていた。車内でどうぶつの森を楽しんでいる女性がいたり、ただ目を瞑って瞑想しているような男性がいたりと普段通りの電車だが、見渡す限りすべての人がマスクをしている姿はつい数ヶ月前までは想像できなかっただろう。

特に理由は無いが、今日は普段とは違う方向を向いて立っている(南だろうか?)。あまり車窓を通して景色を見ることはないが、手を止めつつ気の利いた屋根を見つけたり知らないショッピングセンターの看板を探すのは案外悪くない。稜線に沿って送電線が続く遠くの景色、赤茶色になった変電所の鉄塔、屋上緑化が進んだ病院など。この世の中には見ることも触れることもない数多くの存在があって、生涯かけてもその0.1%も触れられないんだろうなと思ったりする。

駅に停まるごとに乗客は増え続け、吊革もその半分以上が埋まってしまった。これじゃあ普段の通勤の風景とあまり変わらないな。弊社の場合再来週からは通常通りの体制に戻るようで、あと少ししかこの風景は見られないと思うと寂しくなってきた。日本全国が一瞬異様な雰囲気に包まれ、自粛要請によって閑散とした街を味わえるのもひょっとしたら今日明日が最後かもしれない。年明け以降、今後何年経っても忘れないであろう数ヶ月となった。