大阪生活

大阪生活の記録

きょう

重く湿った空気が充満している。弱冷車かと錯覚するほど冷房の効きが悪い。彩度の低い灰色の空を眺めながら、ゆっくりと西へと向かっている。

今日は三宮の高架下で買った「本当の戦争の話をしよう」を通勤中に読み終え、思い足取りでオフィスへ向かった。部課長が軒並み席を外していたため仕事は快適に進み、昼休みには数週間ぶりの店へ顔を出し、会社の同僚と細い煙を吐き出しながら飯を食った。水曜日の出張のホテルを予約し、不必要な資料を作り、在宅勤務の用意を終えて会社を抜けた。

顎に届くほど長かった髪はついに短く切り揃えた。眉を整え、程よいウエストのスラックスを履いた。全く普通の見た目になった。染めていないのに茶髪気味だった髪の毛が一掃されて見事な黒髪が戻ってきた。

最近今後の人生について考えることが増えた。早く東京に戻りたいが大阪の暮らしも悪くない。古い家を買って改修しつつ暮らしたいだとか、海外駐在して異文化に触れたいだとか、田舎に住んで日々を穏やかに過ごしたいだとか。都内に住むのは金が掛かり過ぎて、田舎に住むのは刺激が少な過ぎる。何かを選ぶには何かを諦めなければいけなくて、金と時間、刺激と安定、挑戦し続けたいのか身を固めたいのか、自問自答の日々を送ろう。

この時間になると空は深い藍色に染まり、僕は名も知らぬ虫の声と遠くから聞こえる電車の音に包まれる。誰かを待つタクシー、近くの家の台所から漏れる橙色の明かり、狭い自転車置き場、そういったものに見守られながら家へと向かう。

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