大阪生活

大阪生活の記録

鍼灸院と天丼

始めて鍼灸院に行った。その鍼灸院は家からカブで5分のところにあるマンションの一室にあって、かなり怪しかったけど施術は普通に良かった。半月くらい前から左の肩甲骨と腰回りに違和感があって、座っていても30分ごとに立ち上がってストレッチしないとキツくなってきた。以前行った整体は謎に高い枕を買うことを激押しされたうえ、受けてない施術の料金を請求されたこともあり、ああいった場所に不信感を募らせていた。しかし施術を終えると少なからず身体は楽になったため、落ち着いた雰囲気の(謎にグーグルマップの評価が高すぎない)場所を探して行ってきたわけです。

40代の痩せぎすの男性が出てきて5分くらい質問をされたあと、やや硬めのベッドの上に寝るよう促される。この鍼灸院の良い点は施術中に「えらい凝ってますね」とか「背骨歪んでますね」とか言われないところで、頭を真っ白にした状態で身体を委ねることができた。床屋でも美容室でも、話しかけられるのはあまり好きじゃないのでこの鍼灸院は非常に居心地が良かった。どうせなら針もお願いします、と伝えると「そんな必要ないと思いますが……」と言いつつ左肩に針を打ってくれた。筋肉が鈍く重くなったような、初めての感覚だった。ただ打たれる前と打った後ではそこまで変化は感じられなかった。

お金を支払い駐輪場へ向かう。揉み解されている間は、自分の身体が多くのパーツが組み合わさって成り立っていることを感じていたが、いざ歩いたり寝転んだりするときには身体のことなんて全く意識しないんだなと気づいた。「筋トレすると身体のバランスが整います。今ならユーチューブで見られる筋肉体操がオススメです」と言われたのが面白かった。その日はよく寝られたが、翌日まで爽快さが続いたかと聞かれると微妙だ。

話は変わるが今日、昼過ぎに靭公園近くで商談する機会があった。靭公園にはオシャレな店が多く、本町駅から数分歩くだけで魅力的な飲食店を数多く見ることができる。懐と相談し、丸亀製麺へ行くつもりが長蛇の列を見て断念した。近くにある美味しいラーメン屋に行こうとも思ったが、身体のことを考えてセーブした。道沿いにある蕎麦屋か悩んで、少し離れたところにある「うつぼ慶之助」という店に入った。さっき身体のことを考えたはすが、欲望に負けて天丼を頼んだ。海老二頭に穴子二本、汁物と漬物が付いて980円。弊社の昼食手当は1000円なのでギリギリ予算の範囲内だ。12時半を回るか回らないかの辺りで入店したので、注文してから届くまでにどんどん人から抜けていく。客の多くはサラリーマンで、若い女性は2.3人だった。厨房では注文が入るたびに天ぷらを揚げており、そこで夫婦と思しき二人が一生懸命働いていた。揚げたての天ぷらなんていつぶりに食べただろう。衣の歯ごたえが素晴らしく、時計もスマホも見ずにただ一人美味しさに悶えていた。この美味しさを誰かと分かち合いたい。10分も経たぬうちにすべて腹に収めてしまい、こんなに美味しいもので腹が満たされた幸福感に包まれ、その気分のまま店を出て取引先に向かった。取引はうまくいかなかったが、結果幸せな日だった。