大阪生活

大阪生活の記録

本を読む

ここ数週間は仕事が立て込んでいてとてもじゃないけど読書なんてできる精神状態じゃなかった。常に何かをしていないと不安で、月曜が怖くて休日もハラハラ過ごしていた。けど結局物事はなるようになるので諦めた。やれることをやるしかない。そう考えてからは酒に頼ることも少なくなった(と言っても週に2回、梅酒を白湯で割って飲むくらいだけど)。ここ一週間は特にハードだったのに、一周回って落ち着いてしまったので今日は本を読むことにした。

今日は朝から殊更外が寒くて、なんと家を出るときにはまだ細かい雪が降ってた。淀屋橋から北浜へ向かい、大阪証券取引所で待ち合わせをする。恋人を待つ間に何かしようとしてフィルムカメラで橋とか車とかを2,3枚撮ったけど、寒くてすぐに室内に戻った。当初は南森町のLong Walk Coffeeに行こうとしてたけど、寒すぎたというのと(大阪証券取引所の近くにある)前から気になっていた喫茶店が空いていそうだったという理由で、今日の会合は北浜レトロで行うと決めた。ぼくは杏とアーモンドのタルトを、恋人は苺とかブルーベリーとか丸い果物がたくさん乗ったケーキと、卵が挟まっているサンドイッチを頼んでのんびり過ごした。

それから後は何もせずに家に帰り、昨晩からそのままだった出張のバッグを片付けた。小倉で壊れたから急いで買ったキャリーケースは一泊二日の出張には大きすぎて取り回しにくいし、何よりこの狭い部屋には置き場所がない。そいつを目につきにくい部屋の隅に追いやってから、昼の3時にも関わらず風呂に入る。風呂から出たらあとは飯を食って寝るだけだからぐだぐだと過ごす。なんだかんだ同期の部屋で1時間くらい過ごし、餃子が食べたくなったから原付に乗って同期と王将へ向かう。途中で2回くらいカブはエンストしたけど、なんとかたどり着いたぼくはスタミナラーメンと餃子を二人前頼み、その足で近くの本屋に行き「教団X」と「奇跡の人」を買う。前者は前々から話題になってた本だからまず手にして、後者は扉絵とあらすじに惹かれたから買うことにした。

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よくよく考えてみると新品の本を買うなんて久しぶりだ。以前買った新品の本は昨年11月頃に買った「オールドレンズの新しい教科書」で、その前は「統計学入門」か「服を着るならこんなふうに」という漫画になると思う。まあいずれにせよ、文庫本は古本屋で買うものだと決めていたのに書店で買うなんてどうかしてる。どうかしてたけど、実際に「教団X」を半分くらい読み進めた段階でこの本を手にした自分のセンスに感激してるくらいだから人間なんてテキトーだと思う。

一冊の本に夢中になる体験は、確か中学生の頃に借りた「ブレイブ・ストーリー」が最初だと思う。それ以前はあんまり小説は読まずにエッセイとか紀行文ばっかり読んでた気がする。あれからもう10年くらい経ってるから本の好みはだいぶ変わった。当時はあさのあつこ三浦しをん森絵都を読んでた。高校時代は谷川流に始まり時雨沢恵一、ちょっとだけ三島由紀夫に触れてた気がする。学生時代は(サブカル臭い奴は大概通る道だけど)村上春樹に始まり当然のごとく万城目学森見登美彦の非リア学生の非日常小説に首まで浸かり、何故かそれから中島らもに吹っ飛んで、ようやく着地したところが伊坂幸太郎。王道といえば王道な遍歴だと思う。

本って読み出すまでが大変だ。いざ読み出すと楽しいからすぐに時間が経つ。でも気になっている本を手に取るまでのエネルギーがなかなか絞り出せない。そして一旦本を置いて他のことを始めると、また本を手にするまでのハードルが高くなる高くなる。なかなか読めないくせに気になる本は気軽に買っちゃうから、積ん読本がどんどん増えていって部屋に溢れてしまうことになって、結果的に部室に置いたり友人に譲ったりまとめて買い取って貰ったり、今では独身寮の共用スペースの本棚の3割くらいを占拠するハメになってしまう。

まあそんなことはどうてもいいんだ。とにかくぼくは今、ちょっと前から気になっていた話題の「教団X」を読むことができている。これがなかなか楽しい。楽しいから幸せなんだ。明日は同期ときっと遊ぶんだろう。ゴルフに行くかもしれないし雨が降ったらヨドバシに行ってゲーム機を買うかもしれないし買わないかもしれない。でも今のぼくには同期とは違い、今日買った本を読むという選択肢がある。選択肢が多いのは良いことだ。まあ結局はきっと彼らといつも通り過ごして、夜になって「ああああ」ってなるんだろうけど。